会話の中で上司や年配の方が「まあ、いってこいだな」と言っているのを聞いて、「いってこいってどういう意味?」と疑問に思ったことはありませんか?
この言葉、実は日常会話だけでなく、ビジネスや株の世界でも使われる奥深い日本語なんです。
この記事では、「いってこい」の意味・使い方・語源をやさしく解説し、シーン別の例文や言い換え表現も紹介します。
はじめに:「いってこい」ってどういう意味?
「いってこい」は漢字で書くと「行って来い」。
文字どおり「行って、また戻る」という意味ですが、会話やビジネスシーンでは少し違ったニュアンスで使われます。
日常では「行ってきてね」という軽い挨拶として使われますが、ビジネスや株の世界では「行った分だけ戻る」「結果が元に戻る」といった意味合いになります。
ポイント:
「いってこい」は、もともと「動いたあと元の状態に戻る」ことを表す言葉です。
状況が変わっても最終的にプラマイゼロになる、という意味で使われることが多いです。
「いってこい」はおじさんビジネス用語?
最近では、「いってこい」という言葉に対して
「なんだかおじさんっぽい」「昭和のビジネス用語みたい」
と感じる人も少なくありません。
確かに、若い世代の日常会話ではあまり耳にしない表現になっています。
しかし本来の「いってこい」は、単なる古い言葉ではなく、日本の商売感覚や“流れを読む文化”を表すビジネス語でもあるのです。
■ なぜ「おじさん言葉」と言われるのか
・昭和から平成初期のビジネスシーンで多く使われていた
・商売・株・営業などの「勘と経験」が重視される分野で定着した
・数字や結果よりも「流れ・感覚・帳尻」を重視する価値観が背景にある
このような文化を反映しているため、今の若い世代には少し古風に聞こえるのです。
世代による「いってこい」のイメージの違い
■ 上の世代(40〜60代)
「商売や仕事は流れ。上がることもあれば下がることもある。結局いってこいだよ。」
→ 経験を踏まえた“含蓄のある表現”として使用。
■ 若い世代(20〜30代)
「いってこいって何?」「トントンって意味ですか?」
→ あまり使わないが、言葉のリズムが面白く感じる人も多い。
■ 中堅層(30〜40代)
「上司がよく言うけど、ニュアンスは“結果プラマイゼロ”かな」
→ 意味は理解しているが、自分ではあまり使わない層。
実際の会話での使用例
ビジネス現場では、特に中堅〜ベテラン社員の間で次のような会話が見られます。
A:今期の売上、けっこう上がりましたね!
B:そうだな。でも広告費も増えたし、結局いってこいだよ。
A:為替が円安に動いて利益出ましたね。
B:ああ、でも仕入れコスト上がったから、これもいってこいだな。
A:出張多かったですね。
B:成果もあったけど疲労もすごい。ま、いってこいだな。
このように「いってこい」は、経験からくる冷静な現状分析や、結果を受け入れる余裕を表す言葉として使われます。
つまり、“おじさんっぽい”のではなく、人生やビジネスの流れを俯瞰して語る大人の表現なのです。
まとめ:
「いってこい」は、昭和のビジネス文化から受け継がれた“流れを読む”言葉。
若い世代には古く感じられるかもしれませんが、その中には結果を焦らず見極める大人の知恵が詰まっています。
つまり「おじさん言葉」ではなく、「経験を語る日本的ビジネス表現」なのです。
ビジネスでの「いってこい」の意味と使い方
ビジネスシーンで「いってこい」とは、一時的に成果や数字が変動したものの、最終的に元の状態に戻るという意味で使われます。
つまり、上がったり下がったりしても「結局はトントンだった」「変わらなかった」という状況を指します。
特に営業や売上の話題でよく登場し、ベテランの上司やおじさん世代が口にすることが多い言葉です。
商売や相場の世界で「増えても減っても帳尻が合う」という感覚を引き継いでいる表現でもあります。
具体的な使い方のイメージ
たとえば、次のようなビジネスシーンで使われます。
■ ビジネスでの例文集
1. このキャンペーン、最初は反響があったけど、結局いってこいだったね。
2. 今期の利益は前期より上がったけど、コスト増でいってこいになった。
3. 昨年のボーナスアップも、物価高で生活費が上がっていってこいだよ。
4. 為替が有利に動いたけど、輸入コストも増えて結局いってこいだね。
5. 新規顧客は増えたけど、既存顧客が離れてプラマイゼロ。まさにいってこいの結果だ。
このように、ビジネスの「いってこい」は一見プラスに見えても、最終的には相殺される状況を表します。
「成果が出たように見えて実質変わらなかった」ときに使うのがポイントです。
まとめ:
ビジネスでの「いってこい」は、動きや成果が一時的に変化しても、結果的に元に戻るという意味。
「努力はしたが結果は変わらなかった」というニュアンスを含み、上司やおじさん世代が使うと少し渋みのある表現になります。
株や相場で使われる「いってこい」とは?
株式や為替の世界では、「いってこい」は値動きが激しくても最終的に元の水準に戻ることを意味します。
たとえば株価が朝に上昇しても、午後には同じだけ下がって終わるような動きを「いってこい相場」と呼びます。
投資家の間では非常に日常的な言葉で、「結局プラマイゼロ」という冷静な観察を表すフレーズです。
■ 株・相場での例文集
1. 今日の日経平均は午前中に300円上がったが、引けには下げていってこいだった。
2. 円相場は一時的に上昇したものの、結局いってこいの展開で終わった。
3. アメリカ市場で上がった分を日本市場で打ち消して、完全ないってこいだ。
4. 新興株が午前中に急騰したけど、午後には値を戻していってこい状態。
5. 為替も株も今日は“いってこい相場”で、結局一日無駄足だったな。
このように、株式市場での「いってこい」は価格が上下しても、終わってみれば変わらない動きを指します。
短時間の変動が多い日や、ニュースに振り回された日によく使われます。
覚えておこう:
「いってこい」は数字で表せる“行って戻る”の動きそのもの。
一見ドラマチックでも、最終的には「元通り」で終わる展開を表す、相場の世界らしい言葉です。
「いってこい」の語源と由来
「いってこい」は、もともと日本語の動詞「行って」と「来る」を組み合わせた言葉です。
文字どおりの意味は「行って、また戻る」。しかし、現代の「いってこい」には、単なる往復以上の深い背景があります。
その起源は江戸時代の商人言葉にあるといわれています。
商人たちは「行って売って来い」「いってこいで頼む」といった言葉を日常的に使っていました。
この「いってこい」は、「行って商売をして、ちゃんと帰ってこい」という指示の意味でした。
そこから次第に「行って何かをして、最終的に元に戻る」という意味が定着し、
やがて「動きがあっても結果的には元の状態に戻る」という比喩的な使い方へと発展しました。
豆知識:
江戸の商人が「いってこいで頼む」と言ったとき、それは「行って売って、また戻ってきなさい」という意味でした。
売り買いの往復を示す言葉が、時代を経て「一度変化しても、結局は元に戻る」という比喩的な日本語に進化したのです。
現代でも「いってこい」は、日本的な“バランス感覚”を象徴する表現として残っています。
このように「いってこい」は、単なる慣用句ではなく、日本の商人文化と時間の流れを感じさせる言葉なのです。
「いってこい」の言い換え表現
現代では「いってこい」という言葉は少し古風に感じられることがあります。
特に若い世代やフォーマルなビジネス場面では、よりわかりやすく自然な言い換えを使う方がスマートです。
シーン別・言い換え例
■ カジュアルな会話で
・結局、トントンだったね。
・頑張ったけど、プラマイゼロだね。
・行って来たけど、あんまり変わらなかったよ。
■ ビジネス会話で
・結果的に同水準に戻りました。
・最終的には収支が均衡しました。
・当初の予測に近い水準で落ち着きました。
■ メールや資料で
・当初の水準に回帰しました。
・変動はありましたが、最終的に元の状態に戻りました。
・増減がありましたが、トータルでは横ばいです。
これらの言い換えを使うことで、「いってこい」という言葉を知らない相手にも自然に伝わります。
また、場面によってトーンを変えることで、ビジネスの印象もより柔らかく、的確に表現できます。
ポイント:
「いってこい」は、特に中高年やおじさん世代の男性が使うことが多い言葉です。
若い世代とのコミュニケーションでは、「結果的にプラマイゼロ」や「トントンだった」などの現代的な表現を使うと自然です。
シーンや相手に合わせて、少し言葉を選ぶだけで印象が大きく変わります。
つまり「いってこい」は古臭い言葉ではなく、流れや結果を冷静に見つめる“ビジネス的な洞察”を含んだ日本語です。
使い方さえ押さえれば、年齢や世代を超えて共感を生む便利な表現です。
おわりに:「いってこい」は“日本的な感覚”を表す言葉
「いってこい」は単なる方言や古い表現ではなく、日本人特有の「変化があっても元に戻る」という感覚をよく表した言葉です。
日常でもビジネスでも株式でも、流れやバランスを大切にする日本文化がにじんでいます。
意味を理解して使えば、「いってこい」という一言にも深みが感じられるはずです。
上司やおじさん世代が使うこの表現の背景には、経験に基づいた「流れを見る目」があるのかもしれませんね。
この記事のまとめ:
・「いってこい」は「行って戻る」=結果が元に戻ることを意味する
・ビジネスでは「一時的な変化があっても結果が同じ」
・株式では「上がった分下がる」「動いたあと元通り」
・語源は江戸時代の商人言葉「行って売って来い」
・現代的には「トントン」「プラマイゼロ」などの言い換えも自然