ピカソの本名フルネーム、その驚くべき長さの秘密に迫る

ピカソという名前は皆さんもよく知る画家の名ですが、彼の本名が非常に長いことをご存じでしょうか？

そして、なぜ「パブロ」という名前が彼に選ばれたのか、その背景にはどんな意味があるのでしょう？

この記事では、ピカソの長い本名がどのようにして決まったのか、その起源と意味について詳しく掘り下げていきます。一緒に探求してみましょう！

ピカソには2つの本名がある

ピカソには２つの本名があります。それぞれ見てみましょう。

ピカソの出生証明書に記された本名

まず一つ目は、彼の出生証明書に記されている名前です。

かなりの長さですね。

協会の洗礼記録にあるピカソの本名

そして二つ目は、教会の洗礼記録に記された名前です。

こちらも同じく長いです。

通常、「ピカソの名前は長い」と言及される場合は、主に洗礼名を指すことが多いです。どちらにせよ、ピカソの本名はかなり長いということがわかります。

 スペインでは本名が長くする伝統がある

スペインが生んだ偉大な画家、ピカソ。

彼のように、スペインでは伝統的に名前が長いという特徴があります。では、スペインの人々の名前はどのような構成をしているのでしょうか？

通常、スペインでは人の名前は「個人のファーストネーム（洗礼名）」に加えて「父親の姓」と「母親の姓」を組み合わせて作られます。この形式だけで、名前が長くなる傾向にあります。

さらに、カトリック信仰が根強いスペインでは、聖人や親類の名前を取り入れて名前を付けるのが一般的です。多くの聖人の名前を持つことは、神の恩寵を受けるための表れとされています。

この文化的背景から、ピカソの長い名前も、両親の深い愛情と祝福のもとに名付けられたと言えるでしょう。彼の名前には多くの聖人や親族の名前が込められており、その長さには特別な理由があるのです。

同様の例を他のスペイン語圏の著名人で見ると、以下のような名前があります。

■イブン・ズフル

本名は「アブー・マルワーン・アブド・ル・マーリク・イブン・アビ・ル・アラー・イブン・ズフル」

■ディエゴ・ベラスケス

本名は「ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケス」

■サルバドール・ダリ

本名は「サルバドール・ドミンゴ・フェリペ・ハスィント・ダリ・ドメネク」

洗礼名は、キリスト教徒として洗礼を受ける際に付けられる名前で、大抵は聖人の名前に由来します。この慣習は、名前が長くなる主な要因の一つです。確かに、洗礼名が含まれると名前は随分と長くなりますね。

ピカソの本名の分析

スペインやスペイン語の言語圏では、一般的に「父親の姓（第一姓）」と「母親の姓（第二姓）」を組み合わせた名前が用いられます。

ここでいう第一姓は父親から、第二姓は母親から受け継がれるものです。

通常、第一姓と第二姓の間には「y（イ）」という接続詞が入り、「～と」という意味を持ちますが、これが省略されることもあります。

この独特の命名法を、ピカソの場合で例にとってみましょう。

【父親】 ホセ・ルイス・イ・ブラスコ

【母親】 マリア・ピカソ・イ・ロペス

【ピカソ自身】 パブロ・ルイス・イ・ピカソ

このようになります。

それゆえに、ピカソの正式な本名は以下の通りです。

パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピーン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ

この太字で示された部分は、彼の両親から引き継がれた名前です。

さらに、彼には洗礼名もあり、この洗礼名も彼のフルネームの一部となっています。

ピカソの本名フルネームの背後にある深い意味と由来

ピカソという名前には、一つ一つに深い意味と由来が存在します。彼のフルネームを構成する各部分には、独自の物語が隠されているのです。それでは、ピカソの名前に込められたストーリーを探ってみましょう。

【パブロ】 これはピカソの最初の名前で、彼の叔父から名付けられました。

【ディエゴ】 この名前は、スペインの有名な画家ディエゴ・ベラスケスに敬意を表して名付けられました。

【ホセ】 ピカソの父親のファーストネームから取られた名前です。

【フランシスコ・デ・パウラ】 この名前は、聖パオラのフランチェスコに由来しています。

【ホアン・ネポムセーノ】 この部分の名前は、14世紀ボヘミアの司祭であるネポムクの聖ヨハネから来ています。彼はローマ・カトリック教会の聖人です。また、ピカソの父の友人の名前からインスピレーションを得た可能性もありますが、主にネポムクの聖ヨハネが由来です。

【マリア・デ・ロス・レメディオス】 ピカソの洗礼時に立ち会った代母の名前を取り入れたものです。

【クリスピーン・クリスピアーノ】 これらの名前は、靴屋や皮革職人の守護聖人である聖クリスピヌスとクリスピニアヌスの兄弟に由来します。注目すべきは、彼らの聖名祝日がピカソの誕生日である10月25日と一致することです。

【デ・ラ・サンティシマ・トリニダード】 この名前は、イエズス会の伝道施設「ラ・サンティシマ・トリニダード・デ・パラナ」にちなんで名付けられました。この施設は1706年に設立され、保存状態が良好な遺跡として知られています。

【ルイス】 これはピカソの父親の姓です。

【イ】 「イ」はスペイン語で「and」を意味する接続詞です。

【ピカソ】 最後に、ピカソの母親の姓が彼の名前に加わります。

確かに、彼のフルネームは非常に長く、覚えるのは一筋縄ではいきませんね。しかし、それぞれの名前には独自の背景があり、ピカソの人生と深く結びついています。

パブロ・ピカソ：彼が選んだ姓の意味と背景

公的な文書では「パブロ・ルイス・ピカソ」と名乗りながらも、芸術作品には単に「ピカソ」と署名することを選んだピカソ。

彼がなぜ母方の姓を選び、使用していたのかには特別な理由があります。

スペインの慣習では、通常父方の姓が使用されることが多いですが、ピカソはこの習慣を踏まえつつも、母方の姓を採用しました。この選択の背後には、彼の家族への深い絆が影響しているようです。

実は、ピカソは父親を深く尊敬しており、そのことは孫たちへも語り継がれていたとされます。彼の作品においても、父親の外見が男性像の描写に影響を与えていたと言われています。

ピカソが「ピカソ」という姓を選んだのは、父親への愛情と尊敬が理由だったことが、母親宛の手紙から明らかになっています。彼は、父親を安心させるために意図的に母方の姓を選んだのです。

つまり、ピカソの「ピカソ」という姓の採用は、父親との不和からではなく、単にその姓を好んでいたからということがわかります。

おわりに

ピカソの長い名前は、多くの聖人の名前を持つことにより多大な祝福を受けるという信念から生まれたものです。彼が家族からの愛情と祝福を受けて育ったことが伺えます。